有機無農薬農法について
有機無農薬。生産者さん、小売加工屋さん、消費者のみなさんに、うけがいい言葉です。けれど、親父が農業を始めた昭和30年頃なんかは、有機農法って言葉は使わなかったそうです。温床ハウス。今で言うビニールハウスの中でキュウリ栽培をしていた父ですが、土に有機物を入れるなんてことは、当たり前の感覚だったからです。
それがどうでしょう、僕が農業始めたころからじゃないかな。農家が小売、いわゆる消費者に直接販売を始めたころからでしょうか、やたら有機だの無農薬だの、そんな言葉が世間を飛び交うようになったのは。
化学肥料や農薬を使う農家は、悪者みたいな風潮になったわけです。お隣の農家さんの作られた農産物と違いを伝えたい。簡単な言葉で有機とひとくくりにすると、なんかすごい農法でやってるみたいなことに思われ、有機って言葉が世間に浸透したのかな。実際、当たり前のことなのに。この写真、僕がブルーベリー畑に入れている有機物。
この1トン袋の中にも有機物がいっぱい。すべてブルーベリー畑の中へ投入。
有機物を投入し土をブルーベリーが育つにあたり良い環境に変えて行くのですが、僕は、お客さんに有機農法でブルーベリー作ってるって威張ったことなんてありません。HPにも書いていません。有機農法なんて。当たり前のことやと感じたからです。
それから、わざわざ有機農法なんて大声あげなくても、毎年、お客さんはブルーベリーを喜んで買いに来てくれます。
ブルーベリーの通信販売でもブルーベリーを販売して実際に売れています。
さて、理由は、どこにあるのでしょうか?
次は、農薬について。僕は、10000㎡、100m×100mの畑で、ブルーベリーを1000本、栽培しています。営利目的の栽培です。お米と麦は、300000㎡、甲子園球場の約8つくらいの面積を耕作しています。はっきり言ってしまうと、無農薬栽培で面積はこなせません。
1本や2本のブルーベリーなら、害虫なんてよってきません。けれど、100本単位で植え付けをすると、必ず何かはブルーベリーの樹にやってきます。
上の写真は、冬場にブルーベリーの樹で越冬をする毛虫類の駆除に石灰硫黄合剤を散布した後の写真です。
こんな枝のしげみに潜む毛虫を手で駆除なんて。。。それも1000本分。僕には、無理です。みなさんならどうですか?僕の農園の形態は、ブルーベリー狩り。観光農園です。夏場にお客さんがお見えになられるシーズンに農薬を散布すると言うのは、いいことではないです。けれど、シーズン終了後には、越冬する害虫は、必ず殺しておくべきです。そうしないと、次年度の開花シーズンに毛虫で花や新葉を食い荒らされます。僕は、規定の分量を守り冬場に、石灰硫黄合剤の散布を行っています。
では、夏にはどうしているのと言えば、忌避剤を散布しています。発酵エキスの散布です。植物を発酵させ、水で薄めて散布。害虫が近寄りがたい臭いをブルーベリーの樹に散布します。木酢もその部類に入るのかな。木酢は、パワーあふれる臭いなので、僕には抵抗があったので使用はしていません。
発酵を待つエキスの入った壺の写真です。研究を始めると、いろんなエキスが作れます。そして、散布する時期などが重要になってきます。そのあたりを授業で徹底して教えたいです。無農薬と言う農法は決して悪いことではありません。けれど、機会があれば、無農薬栽培と発信さてれいるブルーベリー栽培者の方に聞いて見て下さい。
農薬を散布しない代わりに何か散布されていますか?
僕がその質問を問いただされたら、ブルーベリー狩りシーズンは、忌避剤を散布していますと答えます。農薬と変わるものを散布しない限り、害虫は必ず飛来します。僕は、1000本栽培して確信しています。
こちらは、麦の赤カビを防除した時の写真。農薬って言うのは、国が定める基準をしっかり守ったら体に害はありません。僕も麦の防除の時は、全身、農薬まみれですが、なんにも体に影響はありません。規定の量を守っているからです。面積をこなし、地域の田畑を守って行く以上、僕だけが無農薬で田んぼを作りますなんてことになって、いもち病や赤カビなどの発生する田んぼを作ってしまったら、地域の田んぼは、すべて伝染し収穫物は、ゼロ。そんなことだって考えられます。
ブルーベリーの畑にしたってそうです。農薬や忌避剤を散布しない限り、畑は、害虫の住みかになります。その害虫が、隣の田畑に飛来し、農作物を荒らします。自分だけがいいのではいけません。地域の田畑があっての自分なんです。地域に生かされているのが農家なんです。そして、農薬も、使ったらこの時期に規定の分量をこれだけ使ったと素直にお客さんに伝えればいいんです。使用したのに、無農薬って言う方がおかしいのです。
伝え方なんです。
僕は、どうやってお客さんに農薬のことを伝えているかを授業でお伝えして行こうと思います。無農薬になんちゃって認証マーク。そんな謳い文句で信用してくれるお客さんは、もういなくなってきています。